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フリマアプリの恋人
第8章 epilogue
「澄佳さんはどうしたい?」
柊司は優しく尋ねた。
店のことが一番の課題だった。
「君が東京で店を開きたいと言うのなら、僕は経済的にも精神的にも協力する。
家庭に入りたいならもちろんそれもいい。
君の好きなようにしていい。
…でも…」
澄佳の瞳を覗き込むようにして、続けた。
「…君の店は、あの小さな海の町にあるから意味があるような気がするんだ。
いや。…あの店だから、きっと意味があるんだ」
「…柊司さん…」
澄佳は息を呑んだ。
「あの店は、君そのものなんだ」
穏やかに見つめられ、澄佳は胸が熱くなる。
柊司がそんなことまで考え…その上、理解してくれていたのか…と。
「…柊司さん。
私ね、最初は祖母に託されたからあの店をやっていたの。
…でも、最近になってようやくわかったの。
私はあの店に助けられたんだ…て。
全てを無くして傷ついて帰ってきた私を、祖母とあの店は黙って迎え入れてくれた…。
祖母が亡くなって…でも、あの店に立っていると少しも寂しくなかったの。
キッチンに…店内に…店先に…祖母の存在を確かに感じた…。
私はあの店で、祖母に見守られて生きてこられたんだ…て。
…それに…あの小さな町のお客さんたちが好きなの。
私の作るものを美味しい…て言ってくれるお客さんたちに、これからも心を込めて料理を作りたい…。
あの店だから…あの町だから、私は私らしくいられるのかもしれないの」

柊司が澄佳の白い手を取り、恭しくキスを落とした。
「僕もあの店に立つ澄佳が大好きだ。
世界一、美しいと思う」
「…柊司さん…」
どちらからともなく貌を寄せ、キスをした。
柊司は包み込むような笑顔を見せた。

「…僕が週末に君の町に通うよ。
そうしていつかはあの町で一緒に暮らそう…。
…子育てにぴったりな綺麗な海の町で…」
「…柊司さ…」
澄佳は頰を桜色に染めて、柊司の優しく濃密な口づけに酔わされた…。
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