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フリマアプリの恋人
第1章 prologue
…瑠璃子は腹違いの妹だ。
年は今年で十四歳…学校に通っていたら、中学二年生に進学している筈だった。

柊司の実母は、柊司が物心着く前に亡くなっていた。
柊司が十二歳の時に父が再婚をした。
生物学者だった父の研究室の先輩の妹を紹介されたのだ。
のちに義母となる由貴子は、周りの評判になるほどの嫋やかな美人であった。
しかし十代の頃に結核を患い、既に完治していたのだが、その大人しい性格から勤めに出ることもなく家にほとんど引きこもり、家事や洋裁をして静かに暮らしていた。
そんな歳の離れた妹を心配した兄が、後輩の柊司の父を紹介したのだ。

父はその頃四十半ばを過ぎていたし、まだ二十四歳とうら若い娘を後添えにするのは気の毒だと固辞した。
けれど、非公式の見合いで清瀧家に遊びにきた時、同席した柊司を見て由貴子はすっかり心を奪われてしまったのだ。

柊司はその頃、とても大人びた少年だった。
母親がいない子ども…父親は優しいが研究熱心な為、ほとんど毎日研究室に泊まり込み、滅多に帰宅はしない。
通いの家政婦が柊司の身の回りの世話をしていた。

物理的、経済的には恵まれ、幼稚舎からエスカレーター式に進める有名私学に通っていた柊司はしかし、どこか寂しげな雰囲気を纏わせていたのだろう。
聞き分けの良い素直な性格で、初対面の由貴子にも気を遣い、朗らかに礼儀正しく接した。
…このひとが父親の後妻になるかもしれない…。
それらもすべて認識していて、好かれるように明るく振る舞っていた。

そのいじらしく…けれど寂しげな少年に由貴子はいたく母性本能を刺激されたのだ。

「柊司さんのお母様になりたいので、清瀧さんと結婚させてください」
見合いの翌日には、そう願い出て兄と柊司の父を驚かせた。
「…柊司さんが私をお嫌でなければ…ですけれど…」
柊司もとても驚いたが、半面ひどく嬉しかった。
…この美しく優しいひとが、自分の母になりたいと申し出てくれた…。
母を知らぬ柊司は、初めて実存する母親に巡り会えたかのような錯覚すら覚えたのだ。

「…嫌じゃないです…。…嬉しいです…」
柊司は小さな声で答え、おずおずと由貴子を見上げた。

…年上の美しいひとは、ちょうど庭に咲き誇る桜の花のように嬉しそうに微笑った。






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