この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第1章 prologue
…瑠璃子は、柊司が十八歳の時に生まれた。
由貴子が清瀧家に嫁いで、六年の月日が流れていた。
…由貴子が子どもをなかなか作らなかったのは、柊司を慮ってのことだったのではないかと、最近になって気づくようになった。

由貴子は、新しい異母兄弟が生まれることで柊司が一人疎外感を覚えるのではないかと、心配したのだ。
…それほどに、由貴子は柊司を大切にしてくれていたのだ。

「…柊司さん、あのね…。
柊司さんは、来年お兄様になるのだけれど…喜んでくださるかしら…?」
父親が出かけた後の二人きりの朝食の席で、そう切り出した由貴子はとても緊張していた。

柊司はそんな由貴子に、間髪を入れずに頷いた。
「当たり前じゃない。母様、おめでとう。
すごく…すごく嬉しいよ」
「…本当に…?」
「もちろんだよ。母様。
…男の子かな、女の子かな?」
由貴子の白い頬が、桜色に染まった。
「まだ分からないわ。二ヶ月ですもの」
「そうか…。でも、どちらでもいいや。
母様とその子が元気なら…。
…本当に、おめでとう」
「ありがとう、柊司さん」

由貴子に子どもが生まれる。
柊司は新鮮な喜びを感じていた。
自分と同じ血を分けた兄弟が…しかも由貴子とも血が繋がっている兄弟が生まれるのだ。

柊司はもう高校三年生だったし、母親を赤ん坊に取られて嫉妬するような年ではない。
むしろ、更に由貴子との絆が深まりそうで、嬉しかったのだ。

柊司はそわそわと立ち上がり由貴子にコーヒーを淹れかけ…ふとやめて、冷蔵庫からオレンジジュースをグラスに注ぎ、由貴子の前に置いた。

「母様、ありがとう」
由貴子が驚いたように柊司を見上げた。
「元気な赤ちゃんを産んで。
僕、絶対にその子を可愛がるから…」
「…ありがとう、柊司さん…」
潤んだ美しい瞳が細められ、柊司の手にそっと白い手が重なる。
甘美な痺れが走り…けれどそれは直ぐに温かな温もりに変わった。
…変わったと思い込む。

柊司はその感情に気づかないふりをして、明るく笑った。
「父様にも、今日から禁煙だ…て言わなきゃね」



/332ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ