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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
「…こんばんは、澄佳さん」
金曜日の夜、店仕舞いをした頃に、柊司は現れた。
駐車場に停められた紺のアウディ…仕立ての良いストライプのシャツに夏の品の良いジャケット、長い脚が映える濃紺のスラックス、磨き上げられた高価そうな黒革の靴…。
人目を引く端整な貌立ち…。
洗練されて上品で知性に溢れ…こんなにも恵まれた容姿や経歴を兼ね備えているに、少しも偉ぶらない。

彼は腕に抱えていた花束を澄佳に差し出した。
「…これ…芍薬…?」
美しいピンク色の大振りな牡丹のような花薔薇のような幻想的な花に、思わず見惚れる。
「…綺麗…」
「青山のフラワーショップで見かけたんです。
…澄佳さんにぴったりなお花だな…と思って」
…こんなに優美な美しい花をそんな風に表現されて、澄佳は息がつまるほどに驚く。
「…こんな綺麗なお花を貰ったのは生まれて初めてです。
ありがとうございます」
「良かった…」
照れたように笑う柊司は、まるでお伽の国の王子様のようだ。

…そう…。
私だって、ひとつくらい…ロマンス小説みたいな恋をしてもいいはずだ…。
このひとときだけ、夢心地になれたら…それで構わない…。
…この美しい花のように…。
たとえ…いつか寂しく枯れ果てる日が来るとしても…。

「…さあ、どうぞ。お入りください…」
澄佳は密やかに微笑むと、男を中に招き入れた。


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