この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
…眩しいほどの朝陽の中、澄佳は目覚めた。
身体に温かな束縛を感じ、はっと瞬きをする。
…男の長く逞しい腕が、澄佳を抱いていた。
柊司は、端整な寝顔で静かに寝息を立てていた。
その美しい貌を見ながら、昨夜の記憶を呼び起こす。

…私…清瀧さんと…。

…いいえ、何もなかったわ…。
だって…このひとは…。


…「一緒に寝てもらえませんか?」
その言葉に覚悟して入浴後、部屋を訪れた。
柊司はそんな澄佳を穏やかに招き入れ、褥に引き入れた。
優しく腕枕をし、澄佳の貌をじっと見つめ…甘やかな巧みな口づけを繰り返した。

…けれど、それだけであった。
少し腫れた澄佳の唇を愛おしそうに指先で撫で、額に妹に与えるような口づけを落とした。
「…清瀧さん…?」

不可思議な貌をする澄佳に、誠実に告げた。
「…僕は貴女が大好きですよ…。
だから、貴女にも僕を同じくらい好きになって貰いたい。そして、愛し合いたいんです。
…無理強いや我慢はして欲しくないんです。
…それに…貴女のかつての恋の傷はまだ癒えきってないような気がして…」
「…清瀧さん…」
澄佳は胸を突かれた思いがした。
…このひとは、私の過去の恋を察して…それを受け止めてくれようとしているのだろうか…。

言葉に詰まった澄佳の頭を優しく撫でる。
…髪に口づけされる。
そうして、穏やかに囁かれた。

「…一緒に眠って下さい。
それだけで、僕は幸せです…」
「…清瀧さん…」

澄佳は素直に柊司の逞しい胸に貌を寄せた。
…真新しい浴衣の匂いに混じり、石鹸と…男の柑橘類を思わせる薫りが漂う。
…男に抱かれて眠るなど、何年ぶりだろうか…と緊張しながら目を閉じた。

眠ることなどできないのではないかと思ったが、澄佳の背中を撫でる男の優しい手は、余りに心地よくて…気がつくと、温かく気だるく仄暗い眠りの世界に引き込まれていったのだった…。



/332ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ