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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
海に沿って続くフラワーラインは眼を見張るほどに美しかった。
マリーゴールドやテッセンや芝桜、タチアオイ、ハマナス、勿忘草…。
色とりどりの花々が花道のように道路を色鮮やか飾り立てていた。

「夏は一面のひまわり畑になるんです。それからラベンダーも…。
まるで絵みたいに綺麗ですよ」
窓からの風に髪をなびかせながら、澄佳が説明してくれた。
「綺麗ですね。圧巻です。
南フランスのプロバンスでこれに似た風景を見ました。
…昔、この辺りには臨海学校で来たことがありますが、フラワーラインは来なかったな」
感動した声を上げる柊司に、遠慮勝ちに尋ねる。
「…もしかして、星南学院ですか?」
「そうです。良くご存知ですね」
「野島灯台の側に、立派な外国みたいな洒落た学校施設があります。
…毎年、裕福そうな学生さんが研修にいらっしゃるわ。
参観の時は駐車場に高級外車がずらりと並んで…セレブなご父兄をたくさん見たっけ…。
私たちとは人種が違う感じだったわ。
…やっぱり、清瀧さんはお坊っちゃまなんですね」
少し寂しげに微笑った。
「いや、父親が星南出身だったので何となく選んだだけですよ。父親は物理の学者でしたが、富裕ではありませんでした。ごく普通の家でしたよ」
「…私からしたら、雲の上の方々だわ。
お父様も有名私学でインテリで学者先生…。
清瀧さんもそうだし…」

澄佳の劣等感まではいかないが、引け目に似た発言に、柊司は運転の妨げにならないようにそっと髪に触れた。
「関係ありませんよ。
僕は海や花は全く詳しくないし、美味しい料理も作れないし、妹が欲しがるアクセサリーも作れない。
僕には澄佳さんが眩しいくらいにきらきら輝いて見えます」

澄佳が長い睫毛を瞬かせ、柊司を振り向きすぐに前を向いた。
照れ臭そうな自分を隠すようなややぶっきらぼうな言葉が続く。

「…ずっと思っていたんですけど…」
「うん?」
「清瀧さんて、ちょっとキザですよね」
「え?…そ、そうかな…」
ドギマギする柊司に悪戯めいた視線を投げ、小さく笑った。
それはとても楽しげな笑みで、柊司は胸の内側が春の陽だまりのように温かくなるのを感じた。

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