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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
ヌーベルギュイジーヌの料理は美味しく新鮮で、とても楽しい時間だった。
前菜は内房の海で獲れた鮑と旬のホワイトアスパラガスのバジルマリネ。
メインは澄佳は石鯛のムニエルにグレープフルーツとレモンのソースを掛けたもの、柊司は伊勢海老とつぶ貝のポワレに季節のハーブソースを掛けたものをチョイスした。
「美味しいですね。東京でもここまでのレベルの店はあまりありませんよ。
魚介が新鮮だし、野菜も美味しい。
ソースもくどくなくて、でも円やかだ」
両手放しで褒めてくれたのが自分のことのように嬉しい。
…そして、その食通ぶりを見るにつけ、やはり彼の育ちの良さを実感する。
「気に入っていただけて良かったです。
本当に美味しいですね。
…こんなお料理を食べたら、自分の料理が恥ずかしくなるわ…」
肩を竦める澄佳に柊司はそっと囁いた。
「そんなことはない。
澄佳さんの料理は素晴らしい。
こちらの料理にも劣らない。僕は澄佳さんの料理が大好きですよ」
恥ずかしくて眼を伏せる澄佳を柊司は微笑んで見つめる。
「貴女には才能がある。料理にアクセサリー…。
本当に素敵なひとだ」
驚いて貌を上げる。
真摯な真っ直ぐな美しい眼差しに見つめられ、胸が甘く締め付けられる。
「…やっぱり…キザだわ…」
照れ隠しにわざとつんと答える澄佳を、柊司は愛おしげに見ると、ナイフを取り上げながら明るく首を傾げた。
「そうかなあ…そんなつもりはないんですけどね…」
「そうよ、キザよ。…まるで…」
…夢の王子様みたい…と続けようとして…
「…でも…。ありがとうございます…」
素直に笑った。
…素の私を丸ごと受け止めてくれるひと…。
暗い過去を抱えて俯きがちな私の人生に、華やかな美しい花を手渡してくれたひと…。
澄佳は心の中でそっと告げ、男に感謝を込めて笑いかけた。
前菜は内房の海で獲れた鮑と旬のホワイトアスパラガスのバジルマリネ。
メインは澄佳は石鯛のムニエルにグレープフルーツとレモンのソースを掛けたもの、柊司は伊勢海老とつぶ貝のポワレに季節のハーブソースを掛けたものをチョイスした。
「美味しいですね。東京でもここまでのレベルの店はあまりありませんよ。
魚介が新鮮だし、野菜も美味しい。
ソースもくどくなくて、でも円やかだ」
両手放しで褒めてくれたのが自分のことのように嬉しい。
…そして、その食通ぶりを見るにつけ、やはり彼の育ちの良さを実感する。
「気に入っていただけて良かったです。
本当に美味しいですね。
…こんなお料理を食べたら、自分の料理が恥ずかしくなるわ…」
肩を竦める澄佳に柊司はそっと囁いた。
「そんなことはない。
澄佳さんの料理は素晴らしい。
こちらの料理にも劣らない。僕は澄佳さんの料理が大好きですよ」
恥ずかしくて眼を伏せる澄佳を柊司は微笑んで見つめる。
「貴女には才能がある。料理にアクセサリー…。
本当に素敵なひとだ」
驚いて貌を上げる。
真摯な真っ直ぐな美しい眼差しに見つめられ、胸が甘く締め付けられる。
「…やっぱり…キザだわ…」
照れ隠しにわざとつんと答える澄佳を、柊司は愛おしげに見ると、ナイフを取り上げながら明るく首を傾げた。
「そうかなあ…そんなつもりはないんですけどね…」
「そうよ、キザよ。…まるで…」
…夢の王子様みたい…と続けようとして…
「…でも…。ありがとうございます…」
素直に笑った。
…素の私を丸ごと受け止めてくれるひと…。
暗い過去を抱えて俯きがちな私の人生に、華やかな美しい花を手渡してくれたひと…。
澄佳は心の中でそっと告げ、男に感謝を込めて笑いかけた。