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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
デザートは澄佳はクレープシュゼット、柊司はタルトタタンを選んだ。
柊司はタルトタタンの一口をフォークに乗せて食べさせてくれた。
男に子どものように食べさせてもらうなど初めての経験で…けれど素直に口を開き、咀嚼した。
甘酸っぱいタルトタタンが胸一杯に広がった。
頬を赤らめる澄佳に
「本当はマナー違反ですけどね。たまにはいいでしょう」
と、いたずらっぽく眼くばせして見せた。
最後のエスプレッソまで楽しい会話と共に全て美味しく堪能し、澄佳は化粧室で口紅を直した。
席に戻ると柊司はギャルソンを呼び、カードで支払いを済ませてしまった後であった。
「困ります。私がお支払いするつもりだったのに…」
慌てる澄佳に柊司は大らかに首を振った。
「いいんです。車を出していただいて運転もお任せで…素敵なところを一日中案内していただくガイド代にもなりませんよ。
…それに、今日もお家に泊めていただきますしね」
少し色気を含んだ口調で言われ、何も言えなくなってしまった。
「払わせてください。…ね?」
優しく貌を覗き込まれる。
「…では、お言葉に甘えて…。
ご馳走さまでした…」
男が眼を細めて微笑い、そっと澄佳の手を握りしめた。
…温かい…美しい手だった。
砂浜に脚を取られるように柊司に強く惹かれてしまう自分を感じ、澄佳は涙ぐみそうになった。
柊司はタルトタタンの一口をフォークに乗せて食べさせてくれた。
男に子どものように食べさせてもらうなど初めての経験で…けれど素直に口を開き、咀嚼した。
甘酸っぱいタルトタタンが胸一杯に広がった。
頬を赤らめる澄佳に
「本当はマナー違反ですけどね。たまにはいいでしょう」
と、いたずらっぽく眼くばせして見せた。
最後のエスプレッソまで楽しい会話と共に全て美味しく堪能し、澄佳は化粧室で口紅を直した。
席に戻ると柊司はギャルソンを呼び、カードで支払いを済ませてしまった後であった。
「困ります。私がお支払いするつもりだったのに…」
慌てる澄佳に柊司は大らかに首を振った。
「いいんです。車を出していただいて運転もお任せで…素敵なところを一日中案内していただくガイド代にもなりませんよ。
…それに、今日もお家に泊めていただきますしね」
少し色気を含んだ口調で言われ、何も言えなくなってしまった。
「払わせてください。…ね?」
優しく貌を覗き込まれる。
「…では、お言葉に甘えて…。
ご馳走さまでした…」
男が眼を細めて微笑い、そっと澄佳の手を握りしめた。
…温かい…美しい手だった。
砂浜に脚を取られるように柊司に強く惹かれてしまう自分を感じ、澄佳は涙ぐみそうになった。