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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
ランチのあとはフレンチレストランから少し車を走らせたフラワーガーデンを訪れた。
イングリッシュガーデンを模した広々とした庭園が美しい。
長閑な中に品があるほっとするような場所であった。
県内最大だという熱帯、亜熱帯の植物やフルーツが生い茂る温室はイギリスにあるクリスタルパレスのような外観をしていた。
眩い光が透明な屋根や窓から降り注いでいた。
熱帯特有の湿度の高い蒸された空気は南国のフルーツや花の香りに満ちていた。
「池には鰐もいるんですよ。
昔は怖くて母にしがみついて泣いたわ。
最後は父に抱っこされてあやされて…怖がりだったんです」
プロムナードを歩きながら柊司を振り仰ぎ笑う澄佳が愛らしく、柊司は思わずその手を握りしめた。
ひんやりとした冷たい手が一瞬強張り…しかし直ぐに柔らかく解けた。
そうして柊司の手をおずおずと握り返した。
…小さくて華奢な可愛らしい手…。
愛おしさが温かな湯水のように溢れ出す。
「…今日は怖くないでしょう?
僕がそばにいるから…。
もし怖ければ、僕が澄佳さんを抱っこしますよ」
澄佳はわざと拗ねたように柊司を見遣り…けれどその手は離さずに
「こっちですよ。迷子にならないでね」
と告げた。
「はいはい」
柊司は澄佳の手に指を絡めた。
…澄佳は素直にその指をしなやかに握りしめた。
振り返り、小さく微笑う。
…南国のどこか官能的な華やかな花の前、澄佳の密やかな艶やかさはより一層際立ち、柊司の心を奪わずにはいられなかった。
…美しく可愛らしく…愛おしいひと…。
知れば知るほど、このひとに惹かれずにはいられない…。
柊司は澄佳への恋心を改めて強く感じるのだった。
イングリッシュガーデンを模した広々とした庭園が美しい。
長閑な中に品があるほっとするような場所であった。
県内最大だという熱帯、亜熱帯の植物やフルーツが生い茂る温室はイギリスにあるクリスタルパレスのような外観をしていた。
眩い光が透明な屋根や窓から降り注いでいた。
熱帯特有の湿度の高い蒸された空気は南国のフルーツや花の香りに満ちていた。
「池には鰐もいるんですよ。
昔は怖くて母にしがみついて泣いたわ。
最後は父に抱っこされてあやされて…怖がりだったんです」
プロムナードを歩きながら柊司を振り仰ぎ笑う澄佳が愛らしく、柊司は思わずその手を握りしめた。
ひんやりとした冷たい手が一瞬強張り…しかし直ぐに柔らかく解けた。
そうして柊司の手をおずおずと握り返した。
…小さくて華奢な可愛らしい手…。
愛おしさが温かな湯水のように溢れ出す。
「…今日は怖くないでしょう?
僕がそばにいるから…。
もし怖ければ、僕が澄佳さんを抱っこしますよ」
澄佳はわざと拗ねたように柊司を見遣り…けれどその手は離さずに
「こっちですよ。迷子にならないでね」
と告げた。
「はいはい」
柊司は澄佳の手に指を絡めた。
…澄佳は素直にその指をしなやかに握りしめた。
振り返り、小さく微笑う。
…南国のどこか官能的な華やかな花の前、澄佳の密やかな艶やかさはより一層際立ち、柊司の心を奪わずにはいられなかった。
…美しく可愛らしく…愛おしいひと…。
知れば知るほど、このひとに惹かれずにはいられない…。
柊司は澄佳への恋心を改めて強く感じるのだった。