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フリマアプリの恋人
第4章 芍薬の涙
「…んんっ…ああ…きよた…き…さ…」
「柊司だよ、澄佳さん…」
…家に帰り扉を閉めるなり、柊司にそのまま壁に押し付けられるように唇を奪われた。
…今までとは全く違う肉惑的な生々しいキスだ。
情熱的に唇を貪られ、歯列を舌でこじ開けられた。
…男の熱く肉厚な舌が澄佳の舌に大胆に絡められる。
強く深く求められ、熱い吐息と唾液を交換し合う…。

…こんな…キスをするひとだったなんて…。
澄佳は痺れるような陶酔の中、必死で理性を保とうとする。
「…待って…おねが…い…ここでは…いや…」
濃密なキスの合間に、懇願する。
外から誰かに見られるかも知れない…。
…まだ、鍵も掛けていないのに…。

柊司は唾液で濡れた澄佳の紅い唇を愛おしげになぞり、微笑んだ。
「…柊司…て呼んでくれたらね…」
…案外、意地悪なひとなのかも知れない…と、甘美な酔いの中、そう思いながら…震える唇を開く。

「…柊司さん…」
柊司は甘く端整な目元で笑い、そのまま澄佳を掬うようにその逞しい長い腕で抱き上げた。

「君の部屋に行くよ…。
…さあ、案内して…」

…澄佳はもう、男の腕の中で頷くことしかできなかった。




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