この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夢見の国
第2章 甘美な冷遇



遠くから送られてくる涼しげな風の音が心地良い。

あたしは、眩しさに閉じていた瞼を開いた。

目前に広がる、青々とした草原と、その向こうには凪いだ深い青の海。

近頃見る夢がおかしいと思っていたが、ここまで鮮明に見る夢は初めてだった。

いつもと同じくベッドに潜って、目を閉じた途端にまばゆい光に襲われ、顔を覆ったのだ。


ここは、どこだろう?

遠くに塀のようなものが見える。

あれは町だろうか。


木陰に移動しながら辺りを見渡す。

木の幹に腰をかけた途端に、地響きを体に感じた。

だんだん近くなり、それが馬の蹄の音だとわかった。

あたしは、映画と同じような音がするんだ、と暢気に考えたりしている。

体がふわふわしているようだ。


夢にしては、ココはあたしの理想を描いたような場所だ。

温かい国。
美しい自然に、雲ひとつない空。

そして、ここまで来たらお決まりは美しく逞しい男だろう。


あたしは、蹄が止んだ背後を振り返った。

ドクン、と鼓動が跳ね上がる。

夢のようにふわふわした体が、急速に我に返った。


「何者だ?」


形良い唇から、理想の低音が放たれた。

馬上から見下ろす、灰色の鋭い瞳。


「ルイザの里に何用だ、ここから何を見ている」


尋問のような怒った口調に、再び我に返る。

男らしいオーラを感じる浅黒く逞しい肢体や、日の光に輝く銀髪や、端正な顔立ちに見とれている場合ではない。


「あ、あたしは…いつの間にかココにいて…」

「怪しげな恰好をして、ヘタな嘘はつかぬ事だ」

「へ…」


あたしはぎょっとして、自分の姿を見下ろした。

パジャマ姿である。

しかも、今日に限って女らしさのオの字もないジャージなのである。


「もー!やだー!」


しゃがみ込んだあたしを、男は胡散臭そうに一瞥したが、身軽な動きで馬から降りた。


「…とにかく、共に来てもらう」


大きな手に腕を引かれ、流石に少し警戒心が芽生えた。


「あなたこそ何者よ?」


男は、鋭い灰色の瞳を細めた。


「俺はルイザの里の守護長、ラーストだ」


ラーストの逞しい腕が、あたしを軽々と馬上に乗せた。

/30ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ