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夢見の国
第2章 甘美な冷遇
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ゼイルの問いに一言だけで答えたラーストは、その話はそこまでと言わんばかりに、請求に館に入るようにあたしを促す。

背後からラーストとゼイルが続いた。

誰もが無言のままどう進んだかわからないほどの道なりを経て、ある部屋に通される。

広いがシンプルな造りで、部屋の隅にはラーストからは連想も出来ない様な可愛らしい植物の鉢がいくつか置いてあった。

部屋に入り、扉を閉じてから、ラーストは口を開いた。


「向こうに動きはなさそうだが数名残して来た。その帰りに、リリスの木からルイザを見ているこの娘を見つけたのだ」


あたしは、自分の話をされていると分かり目を丸くした。

何だか深刻そうな口調だからなおさらだ。


「あの…?」


妙な雰囲気が漂っていると気付き、不安になって二人を見上げるあたしを、ラーストとゼイルは見下ろした。


「キミ、そこにかけなさい」


ゼイルは椅子を奨めると、自らも近くの椅子に腰をかけた。


「ラースト様。わたしは貴方を信頼していますが、先程も申し上げた様に、この方はおなごですよ」

「……」


ラーストは、ただ黙ってゆっくりと大きな机に軽く腰をかけた。

長い脚だからこそ出来る事だ、と我ながら暢気に見とれてしまう。

よくはわからないが、今までの状況を見て、ゼイルが庇ってくれているような言葉を発しているのだから、ラーストがあたしに良くない考えを抱いているのは分かりきっているのに。


「ゼイル。俺は守護長だ。この世界のではなく、里のでもなく、ルイザ様を守護する者。そのためならば致し方ない事だ」

「ラースト様、まだ年端もゆかぬ娘をも手に掛けると…?」


信じられないと言う勢いで声を乱したゼイルと、手に掛けるという言葉に、あたしは二の句を告げられなくなった。


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