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夢見の国
第2章 甘美な冷遇
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(何故、この人はもう誰かのものなんだろう?…ルイザ、のもの…?)


静かだった灰色の瞳を爛々とさせ、全身全霊をかけて守りたいと。

分かり易いくらいにその想いをぶつけてくる。


そんな、思う人がもう、いるのに。

あたしは、何故…。


ごちゃごちゃ考えている間に、ラーストが動いた。


「見ろ、ゼイル。この娘は異国の民だ」

「…きゃ…」


乱暴な仕草でかぶせてあった布を取られてしまう。


「…なっ!これは…!?」


ゼイルの驚きの声は、非難を含んだものだった。


「もっと良く見てみろ」


顎を取られ、顔を良く見える様にさせる為か、更に仰向けにさせられる。


(…っ、なに? 何かに、驚いてる…?)


現状が把握しきれないながらも、瞳を覗き込む不思議な輝きを宿すラーストの瞳から視線を反らせなかった。


(何故、夢の中でも、惹かれるのはこんな結末の見える人ばかりなの…?)


あたしは、真っすぐラーストを見返しながら言った。


「この国に危害なんて加えられません。あなたになら調べればわかると思うけど、あたしにはどうこうできるような力などないもの」

「力はなくとも、国を傾ける方法などいくらでもある」


ラーストはあたしの腕を引き、力任せに立ち上がらせた。


「あ!痛…っ」

「ラースト様っ」


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