この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異聞 ヘンゼルとグレーテル
第5章 4
餌として欠かせないだけでなく、魔女にとって人間は悦楽をもたらす玩具でもあった。だが、それ以上の興味を抱いた事などない。勿論この幼い兄妹も。それなのに……
 自分の腕の中で啼き乱れるグレーテルを可愛いと思う。ヘンゼルへ向ける笑みを自分にも向けて欲しいとも。

 これは、どうした事なのか……

 捕らえた時、見目の可愛い兄妹だと思ったのは確か。とはいえ、そんな人間は今まで何人も食してきた。じわじわと快楽漬けにして数ヶ月かけて遊んだ事もある。

 そいつらと何が違うと言うのだ……

 ほんの数時間前まで、ヘンゼルは自ら蜜の源をさらけ出し、涙目で魔女を見上げていた。
『ご、ごしゅじん、さまぁ……もぉ、や、あぁん』
 甘い声で魔女に縋り、涙を流して更なる愛撫を強請る。啼き果てる最後には気を失する程、魔女の与える快楽に耽溺していたと言うのに……
 毎夜グレーテルは薬草茶の効果が切れ、意識を取り戻すと真っ直ぐヘンゼルの元へと降りていく。そして泣き言を言う事もなければ、繰り返し逃げるよう説得する兄の言葉に頷く事もなく、ただその手を取り眠りに付くのだ。
 明日になれば命に従わせる事は出来ても、グレーテルが自ら魔女の方を向いてくれる事はないだろう。当然魔女を呼んでくれる事もなければ、可愛い笑顔を見せてくれる事もない。怯え、震えて魔女を嫌悪するのだ。今まで何とも思っていなかった人間の態度が、グレーテルに同じ様にされると胸の奥がジリリと疼く。自分が招いた結果なのに、そんなグレーテルの態度が気にくわない。目の前でヘンゼルに甘えられると無性に引き裂きたくなる。兄妹という二人の関係を悪くないと思っている筈なのに……

「良い子だから、ね?今の隙に一人で逃げるんだ」
 下から聞こえてきたヘンゼルの抑えた声に遠視を向けると、グレーテルが柵越しに伸ばされたヘンゼルの手をしっかりと胸に抱え込み、首を左右に振っていた。それは何時ものやり取りで。
「おにいちゃんといっしょがいい」
 グレーテルの甘えた声にほっとしたようにヘンゼルが頬を緩める。離れない事を互いに確認し合っている様な二人に、魔女は無意識に歯を噛み締めていた。

 ……六つか七つ、年端もいかない人間の子どもごときに、私の心が囚われているとでも言うのか?
/19ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ