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異聞 ヘンゼルとグレーテル
第5章 4
 そのまま強引にグレーテルを自分の上へ引き倒し、魔女はその細い首筋に嚙みついた。
「やぁっ!」
 逃れようともがいても、幼いグレーテルが魔女の力に敵う訳もない。上下を返した魔女に組み敷かれ、グレーテルはまたしてもその身体を魔女に良い様に甚振られる事となってしまった。
「んん……やっだ、ぁあん」
 閨から絶え間なくグレーテルの啼き声が聞こえてくる。少し前まで懸命に抵抗していた声は明らかに怯えていて、閨を抜け出していたのが魔女にバレたのかもしれないとヘンゼルはグレーテルを閨に戻した事を後悔していた。
 傍に居ても閉じ込められたままのヘンゼルはグレーテルを助ける事も守る事も出来ない。それでも文句を言い募り、煩いほどに騒ぎ立てれば魔女の怒りを自分へ逸らす位は出来るかもしれない……
 見えない所でグレーテルが泣く程酷い:何か|をされている事がヘンゼルには耐え難かった。しかも、その一因に自分も関与しているのだ。
「やめろーっ!グレーテルを苛めるなーっ!」
 握り締めた拳で柵を叩き、大きな声を張り上げる。ヘンゼルが柵を叩く度にガシャンガシャンと大きな音が辺りに響く。でもそれは魔女に遮られ、グレーテルにはヘンゼルの声さえも届かない。
「ここから出せ!罰なら僕にすれば良いだろう!」
 ヘンゼルが籠を激しく揺さぶって抗議する声に魔女が頬を歪めて自嘲する。

 罰?
はっ!
 これはそんな可愛いモノではない。
 醜く、愚かな嫉妬、だ……
 お前のせいだと言うのに、肩代わりなぞ出来るものか。

「ふぅう、ん、やっ……あぁ」
 次第に甘みを帯びていく幼子特有の高い声。薬草茶を飲まされなかったグレーテルがいつになく抵抗したため、その小さな両手は頭の上で肩幅程の板の左右に細帯で括り付けられていた。手を拘束され動きを制限された状態で体中を魔女の舌に舐められ、幼い胸の蕾を歪な指にクリクリと弄られる。嫌で嫌で堪らないのに魔女の指や唇、濡れた舌に愛されてグレーテルの身体は甘く蕩け始めていた。噛みつかれた跡の火照る様な痛みさえ、何処か甘く感じてしまう。
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