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第2章 晦日(つごもり)

先輩は不思議な人だ、と雅は思う。

今さえ楽しければそれで良い風に装っているが、高等部に在籍しながら既に事業を手伝い、自分の婚姻のことも考えてしっかり前を見ているのか――。

雅がまじまじと加賀美を見ていると、加賀美の顔が近づいて来る。

(…………? 顔が近づいてって――)

「どさくさ紛れに何をしているのですか!」

キスしようと近づいていた加賀美の整った顔を、雅は両の手のひらで容赦なく押し返す。

「えぇ〜良い雰囲気だったのに」

加賀美は唇を尖らせる。

(どこか良い雰囲気!? ちょっと気を抜くとこれだもの!!)

「卓司様、着きました」

使用人が到着を告げると、雅ははしたないと思いながらも、自分でドアを明けて降りようとする。

加賀美は逃げ出す雅のその手をとると、うやうやしく口付けた。

「さて、参りましょうか、俺の綿菓子ちゃん――?」








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