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色欲のいりひ
第2章 2
今日も茉莉が来ている。
 全裸に透明のカッパを着て、白いハイソックスを履いたまま、窓辺の隅に腰を下ろし外を眺めている。
 これから始まる儀式の為だ。
 アイツが俺にそうさせる。
 俺ではない、俺の中のアイツが、
「そうさせろ」
 と言いやがる。
 いったい俺のアパートの外には何があるのだろう。俺から見えるものは、マンションたけなのだが。茉莉にはきっと別の何かが見えているのかもしれない。
 そして俺はあることを思い出していた。それは小学生の時、いとこのおじさんの家に遊びに行った時のことだ。
父親は兄がふたりいた。その長男の家に遊びに行ったとき、俺は人生を変えるような衝撃を覚えた。 父方の長男には2人の娘がいた。ふたりともすでに中学生。俺は小学五年生。姉の名前は千夏。妹の名前は千秋だった。おじさんたちは一戸建ての立派な家に住んでいた。洋間は20畳ほどあった。マンション育ちの俺からすると、心なしか羨ましくも思った記憶がある。
 親たちが洋間で歓談をしている最中、俺は千夏さんに呼ばれて、千夏さんの部屋にいた。
 その部屋は白とピンク色が基調だった。カーテンと布団が淡いピンク色だったのを、なんとなく覚えている。
 俺はベッドの前に正座をさせられた。
「俊くん。上向いてごらん」
 千夏さんの指示通り上を向くと、いきなり唾液をたらされた。
「ぶぅ」
 俺は顔を左右に振り、唾液がかかった箇所を右手で拭き取ろうとした。
「ダメよ、拭き取っちゃ。いい、この事は内緒にしといてね」
 俺は少し不服だった。だが、それも次第に快楽へと変わっていった。唾液を吹きかけられると、粒が顔面に飛び散り、粒が当たる個所はひんやりと冷たくなる。垂らしたり吹きかけたり指で伸ばしたりと、やがて唾液の乾いた匂いが嗅覚を激しく襲う。その衝撃は脳天を破壊し、やがて快楽の絶頂へと誘った。
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