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色欲のいりひ
第2章 2
 ── 気が付くとテントの中で気絶していたようだった。何、いつものことだ。まったく気にはならなかった。上体を起こし一息ついて四つん這いになりながらテントの外へと出る。畳の部屋の真ん中にパソコンの上蓋が開いたままの状態であった。
どうやらアイツは俺の中から通り過ぎたようだった。
 パソコンの前に座る。
 むなしさだけが襲ってくる。
 なんなんだろう、このむなしさは。
 いつも痛感することなのだが、いつもにましてむなしさを感じていた。
 俺は早速、収録したビデオを動画機能で再生する。
 気を失っていたので、儀式の内容は覚えていない。
 だからいつもこうしてビデオに撮って、その内容を確認する。
 カッパを着せられたところまでは覚えていた……。
 なにやら茉莉がカッパを絞り始めると、カッパから汗の水分が顔面に投じられていく。かなり多量の汗の量だ。その後いきなり顔を舐めはじめている。舐め終わると俺の上体を起こして、わきの下で何度も顔を挟み、汗をこびりつけるような仕草だった。そして最後は足袋を脱いで、両足を俺の顔面に押し付けていた…… 。
 この動画をみていつも思うことがある、それはこの儀式はアイツと茉莉の儀式であって、けっして俺と茉莉の儀式ではないということだ。俺一人だけ、のけものにされている気分に陥る。
 儀式が終わったのか、茉莉は這いつくばりながらテントの外へと出ていく。テントの中では意識を失った俺が横たわっている。
 なんとも間抜けな光景だった……。
 動画を閉じパソコンも閉じる。
 ちくしょう。
 俺一人のけものにしやがって。
 次は俺も楽しませてもらうことにする……
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