この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
色欲のいりひ
第3章 3
徐々に空が青からオレンジ色に変わりつつあった。
頭痛がし始める。
来る。
アイツが。
俺は意識が朦朧としていた。
今日こそは記憶の中に残したい。
だがアイツがそれを阻害する。
俺は頭を両手で抑えながら、床に片膝をつく。ぐらんぐらんと部屋がゆれる。一瞬目の前がピンク色になった……。
今日も…… 。
俺の負け…… 。
── 目覚めてもため息一つ出てこない。時刻は午後9時を過ぎたあたり。虫の音が聞こえてくる。パソコンの画面で動画を観る。確認作業の為だけに。気を失っている最中、茉莉は『すのこ』の部屋を抜け出し、トイレに駆け込んだ様子だった。
「ずるい奴だ」
俺はそう思った。
しばらくして茉莉が畳みの部屋に戻ってくる。そして『すのこ』の部屋に出てお丸を抱えて、再びどこかに行く。きっとトイレで汚物を流して風呂場で洗い流すのだろう。
なんだかバカバカしくなってきていた。
明日も茉莉と約束をしているが、断ろうかとも思い始めていた。
なぜいきなり心境の変化が起きたのかはわからない。だがこの動画を観ている限り、俺は何も感じなければ興味すらわかない。少しばかし気持ち悪いとも思い始めていた。不思議な感覚だった。
動画は毎回茉莉にみせる。
そのたびに茉莉は、
「動画を流すのだけはやめてください」
と懇願する。
だから俺は動画を流すことだけは避けて来た。
その代わりとして、アイツの生贄になれと、茉莉に言い聞かせて来た。そして茉莉は素直にそれに従っていた……。
俺はスマホを取り茉莉の連絡先のかかれたアドレス帳を開く。右手の人差し指で画面をスクロールする。
迷っていた。
連絡をするかどうかを。
踏ん切りがつかない。
縁を切ることは構わない。
むしろ歓迎だ。
しかそうすることによって、アイツが暴れだし俺を苦しめると考えると、そう簡単に連絡を入れることはできなかった。
アイツさへいなければ。
頭痛がし始める。
来る。
アイツが。
俺は意識が朦朧としていた。
今日こそは記憶の中に残したい。
だがアイツがそれを阻害する。
俺は頭を両手で抑えながら、床に片膝をつく。ぐらんぐらんと部屋がゆれる。一瞬目の前がピンク色になった……。
今日も…… 。
俺の負け…… 。
── 目覚めてもため息一つ出てこない。時刻は午後9時を過ぎたあたり。虫の音が聞こえてくる。パソコンの画面で動画を観る。確認作業の為だけに。気を失っている最中、茉莉は『すのこ』の部屋を抜け出し、トイレに駆け込んだ様子だった。
「ずるい奴だ」
俺はそう思った。
しばらくして茉莉が畳みの部屋に戻ってくる。そして『すのこ』の部屋に出てお丸を抱えて、再びどこかに行く。きっとトイレで汚物を流して風呂場で洗い流すのだろう。
なんだかバカバカしくなってきていた。
明日も茉莉と約束をしているが、断ろうかとも思い始めていた。
なぜいきなり心境の変化が起きたのかはわからない。だがこの動画を観ている限り、俺は何も感じなければ興味すらわかない。少しばかし気持ち悪いとも思い始めていた。不思議な感覚だった。
動画は毎回茉莉にみせる。
そのたびに茉莉は、
「動画を流すのだけはやめてください」
と懇願する。
だから俺は動画を流すことだけは避けて来た。
その代わりとして、アイツの生贄になれと、茉莉に言い聞かせて来た。そして茉莉は素直にそれに従っていた……。
俺はスマホを取り茉莉の連絡先のかかれたアドレス帳を開く。右手の人差し指で画面をスクロールする。
迷っていた。
連絡をするかどうかを。
踏ん切りがつかない。
縁を切ることは構わない。
むしろ歓迎だ。
しかそうすることによって、アイツが暴れだし俺を苦しめると考えると、そう簡単に連絡を入れることはできなかった。
アイツさへいなければ。