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初メテノ夜ジャナクテ
第1章 1
『ごめん、起こした?』
 頭をかいているウサギのスタンプといっしょに、メッセージが返ってくる。
『ううん。寝られなくて』
 正直に送ったら、通話のマークが現れた。
 賢人くんが、電話をかけてきてくれてる。
『もしもし』
 応答したら、「りお」と優しい声で呼ばれた。
 涙が出そうになる。
『寝れねーの? 大丈夫?』
 声だけで顔が浮かんでくる。
『平気だよ。ごめん、心配かけて』
 ちょっと鼻声になってしまった。
『平気そうじゃねーじゃん。何かあった?』
 長いこといっしょにいたから、賢人くんに隠し事するのは難しい。
『将来のこととか考えてただけだよ。それよりさ、賢人くん、飲み会楽しかった? 美容院、遅くまでたいへんだね』
 美容師になった賢人くんは、人気サロンのイケメンスタイリストとして雑誌にも載ったことがある。指名がたくさん入るから、毎日忙しいみたいだ。
『うん、楽しかったよ。こっちはいつもどおりだからなぁ。合コンやるとかで盛り上がってたけど、俺はそういうの興味ないから』
 たわいない話でも、賢人くんの声を聴いているだけで落ち着いてくる。
『合コンかぁ。賢人くん、カノジョとか欲しくないの?』
 まわりは可愛くてオシャレなコばっかりだろうし、小学校のときからモテモテだったし。
『べつにいいよ。仕事忙しいし。それに……』
 ふっと電話の向こうの明るい声が途切れる。
『どうかした?』
『何でもない。それより、寝られないなら歌ってやろうか、子守唄でも』
 そう言って賢人くんが歌い始めたのは賛美歌の「いつくしみ深き」だった。幼稚園がミッション系だったから、私も覚えている。
 音痴な賢人くんの歌を聴いていると、眠気よりも笑いがこみあげてくる。
『どう、眠くなった?』
『死んじゃいそうだよ』
 だいたいその歌、子守唄じゃないし。
 賢人くんは器用だけど、音楽は昔から苦手で、リコーダーも吹けなかった。
 でも、プラチナニコフのギターが脱退したとき、「俺が弾こうか?」と言って練習してくれたこともある。結局、メンバー募集ですぐに代わりが見つかったけど。
『ありがとう』
 やっと少しだけ、眠くなってきた。
『おやすみ』
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