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レディー・マスケティアーズ
第8章 アトス ――トーホー開発 経理部
           
               *

 うん? 何があった? 
 気がつくと、藤川は、薄暗い部屋のテーブルに突っ伏していた。
 ここは、ミーティング・ルームだ。そうか。仕事に疲れてうたた寝していたのか。時計を見ると、針が九時半を指していた。
 さてさて、今日もおれが、社内の最終退館者か。おや? 誰かが上着をかけてくれている。誰の仕業だ。万年課長のおれなんぞを、誰が気にかけてくれたんだろう。よくわからないが、何だかとてもいい夢を見ていた気がする。やたら気持ちのいい夢を……。
 よし。今晩は「一平」に寄って、おでんと焼き鳥で一杯やってから帰るとするか。
 たまには、自分で自分に「ご苦労様」と言ってやってもいいはずだ。一人にんまりしながら、藤川は立ち上がった。
 よくはわからないが、妙に浮かれた気分になった。       
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