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レディー・マスケティアーズ
第8章 アトス ――トーホー開発 経理部
           
                * 

「そうか。また、お得意の催眠術を使ったというわけだな」
ひ苦笑いを浮かべる所長の松永に、アトスが唇を尖らせる。
「所長までが、催眠術に偏見を持っているんですか? 催眠術は、魔法でも呪術でありません。ヨーロッパでは、第一次大戦中、傷病兵の治療にも使われていたんですよ。心理学を背景にした立派な技術。医学の一ジャンルです。患者を幸せにする術とも言えますわ。さっきのあの男のようにね」
「まあ、例によって手際良く成果を上げてくれたわけだし、おまえの特技の悪口を言うつもりはないがね」
「ええ。お願いします。まあ、ほかのメンバーが肉体労働に汗を流しているのに、わたしだけが頭脳労働で申し訳ありませんが」
 アトスこと、館山千尋はそう言うと、傍らのホワイドボードを引き寄せて、藤川芳郎から聞き出した収穫を書き入れた。
○木庭茂は、課長の藤川芳郎に命じて、二種類の帳簿を作成させている。
○二種類の帳簿には同じ金の動きしか記載されておらず、どこに違いがあるのか、経理課長の藤川にもつかめない。二種類の帳簿を、木庭が会社の金を横領した証拠とは断定できない。
○表帳簿はトーホー開発の社内金庫にあるが、もう一つの裏帳簿は木庭が個人で保管している。木庭の自宅金庫に保管されているらしい。
○裏帳簿が保管されている自宅金庫のあり場所は、木庭茂本人しか知らない。暗証番号のようなものがあるかどうかも、同じだ。
「藤川から聞き出した話は、これで全部です」
「なるほど。二種類の帳簿はあるが、どこが改ざんされたのかもわからないということか」
 松永は大きく息を吐いて、事務椅子から立ち上がった。
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