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レディー・マスケティアーズ
第9章 アラミス ――三軒茶屋 木庭浩一のマンション
 三軒茶屋のマンション。木庭たちがサンダーバード基地と呼ぶ特別室には、女たちを悦ばせるためのコレクションが所狭しと並んでいる。
 口枷・手枷・足枷、首輪、ムチやローソク、麻縄のロープといった拘束具から、セックスシートや診療台、ギロチンといった大型の拷問機器まで。
マニアなら名前を聞いただけで涎を垂らしそうな名品が揃っているにもかかわらず、ほとんどの女たちがこれを見た瞬間に悲鳴を上げる。
 浩一がこの部屋に連れ込んだ、桜井美里も三好綾香もそうだった。
 それなのに、この女――星野菜緒美――は顔色一つ変えない。
 素っ裸にして豹柄の目隠しを強要した時も、体の隅々に媚薬クリームを塗った時も、茂と二人がかりでM字型開脚診療台に押さえつけて、両手と両足を台に縛り付けた時も。
「カフェ・アレクサンドル」のどんな試験で歴代最高点を取ったかは知らないが、明らかにこれまでの女とは違う。
 私服に着替えて店の通用口で木庭たちを待っていた時は、上から下までユニクロとしか思えないラフな格好だったが、着ているものを剥ぎ取ると、そのしなやかな肢体に目を奪われた。
 小ぶりの乳房はつんと上を向き、たるみのない尻や太腿は、弾力に満ちている。それに加えて、SM玩具を目にしても眉一つ動かさない度胸のよさはどうだ。
 今日は、いい買い物をした。これ以上の玩具はないぜ。浩一が舌なめずりしながら横を伺うと、茂も同じことを思っていたのか、いつになく上機嫌だった。
 示し合わせたようにブリーフを脱ぎ捨て、男二人も素っ裸になった。
「よし、始めようか。サンダーバード一号、発進だ」
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