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独占欲に捕らわれて
第6章 契約期間開始
ふぅ、と息を吐くと、千聖は咳き込んでしまった。同時に、喉の乾きに気づく。
「あれだけ声出したんだし、仕方ないか……」
盛大なため息をつくと、紅玲に抱かれていた時のことを思い出す。
(あんな若い人にあそこまで……。っていうか、1回のセックスで気絶って、よっぽどよね……。正直、途中からほとんど記憶無い……。私、変なこと口走ってないかな……?)
小さな不安を抱きながら、千聖は風呂から出た。

襦袢を羽織って部屋に戻れば、紅玲は畳の上であぐらをかいて座っている。小さなテーブルの上には、2本のペットボトルがある。
「おかえり、チサちゃん。水とお茶、どっちがいい?」
「お水をもらうわ」
「どうぞ」
紅玲はミネラルウォーターを、千聖に差し出す。

「ありがとう」
千聖はペットボトルを受け取ると、紅玲の向かいに座って一気に半分近く飲んだ。
「結構飲むね。ま、あれだけ啼いてたし、それだけ喉も渇いちゃうよね」
ニヤつきながら言う紅玲を睨みつける。
「うるさいわね……」
「怒った顔も可愛いよ」
後輩なら怯む睨みも彼には効かないらしく、千聖ががっくり肩を落とす。

「なんだかあなたといると疲れるわ……」
「そのうち慣れるって」
「慣れたくない」
再び睨むも、紅玲は笑うだけ。

「さてと、そろそろここから出ようか? もうちょっとゆっくりさせてあげたいんだけど、これ以上ここにいたら泊まりたくなっちゃうからさ」
紅玲は千聖に背を向け、襦袢を脱いだ。千聖の視界に、痛々しい傷跡が映り込む。
「ちょっと……! それ、どうしたのよ?」
驚いた千聖が声をかけると、紅玲は不思議そうな顔をして振り返る。

「それって?」
「背中の傷……。最近できたような傷だけど……」
そこまで言って千聖はハッとし、そんな彼女を見て紅玲はニヤリと笑う。
「ねぇ、まさか……」
「さっきのセックスで、チサちゃんがつけてくれた傷だよ。嬉しかったなぁ」
嬉しそうに言う紅玲に、千聖は怒りで顔を真っ赤にする。

「わざと素知らぬフリをしたのね!? 信じらんない!」
「そんなに怒んないでよ」
千聖は返事をすることなく、早々と着替える。
「はやくしてちょうだい」
「はいはい」
紅玲は苦笑しながら返事をして着替えた。
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