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独占欲に捕らわれて
第7章 苦悩
「まったく……。でも、ちょっと心苦しいけど、お金を請求されることがないのならよかった……」
「心配性だねぇ。そういうところも好きだけど。名残惜しいけど、シャワー浴びて出よっか。どこか辛いところない?」
紅玲は千聖の頭を撫でながら、心配そうに顔をのぞき込む。
(言われてみれば、なんかだるい……)
背中の傷でそれどころではなかったが、いざ聞かれてみると、腰が重く、だるさを感じる。

「少しだるいけど、これくらいなら平気よ」
「ダメ、少し横になってからにしよ」
紅玲は千聖の手を引き、強引に寝かせると、優しく抱きしめる。
「もう、大丈夫って言ったじゃないの」
「少しでも無理させたくないの。そうだ、なんか飲もっか」
紅玲はバスローブを羽織り、コンビニボックスの前にしゃがみこむ。

「コーラとミネラルウォーターと緑茶。あと、微糖の缶コーヒーとビール。なにがいい? あ、おかしセットあるよ。ポテチとチョコクッキーだって」
後半声を弾ませながら、紅玲はコンビニボックスのラインナップを千聖に伝える。
「緑茶をもらえる?」
「緑茶ね、分かった」
紅玲は緑茶とミネラルウォーター、それとおかしセットを抱えてベッドに戻った。

「なに、おかしまで買ってきたの……」
「チョコクッキーが食べたかったんだ」
呆れ返る千聖の隣に座ると、彼女に緑茶を渡してチョコクッキーを開封する。
「チサちゃんもどーぞ」
「……ありがとう」
千聖は緑茶で口内を潤すと、チョコクッキーをひと口かじった。どうやらカカオ高めのチョコレートらしく、ほろ苦さとバターの香りが口いっぱいに広がる。

「大人の味だねぇ。オレとしては、もう少し甘い方がよかったけど……」
紅玲は残念そうにチョコクッキーを見ると、ひと口かじった。
「意外と甘党よね」
「そんなに意外?」
千聖は穏やかな目で紅玲を見上げ、彼はキョトンとして千聖を見下ろす。

「見た目は甘いの好きじゃなさそう」
「あっはは、よく言われる。刺激物好きそうとかね。残念なことにオレは甘党だよ。というわけで、これはよかったら持ち帰って」
紅玲は筒状の箱に入ったポテトチップスを、千聖の膝上に置いた。
「ありがとう、お酒のつまみにするわ」
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