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独占欲に捕らわれて
第7章 苦悩
チョコクッキーを食べ終えると、ふたりは横になる。千聖は紅玲の腕枕でうとうとする。
「おやすみ、チサちゃん。好きなだけ寝てていいからね」
紅玲の甘く囁くような声は、千聖の眠気を促す。千聖はあっという間に眠ってしまった。
「チサちゃんをこうして抱きしめてると、いくらでも寝れちゃいそうだね……」
紅玲は小さくあくびをすると、瞼を下ろした。

次に千聖が目を覚ましたのは、夜7時過ぎ。紅玲はとっくに着替えて、千聖の顔を見つめている。
「おはよ、チサちゃん」
「今何時?」
「夜の7時過ぎだよ」
千聖は目を見開き、勢いよく飛び起きる。

「もう、起こしてくれてもいいのに……」
「なにか用事あった?」
「それは、ないけど……」
バツが悪そうに言う千聖に、紅玲は小さく笑う。

「何がおかしいのよ?」
「用事がないのに、何をそんなに慌ててるの?」
「だって、あなたは時間大丈夫なの? それに、ここの休憩時間だって……」
千聖が珍しくおどおどしながら言うと、紅玲は吹き出した。
「そんなの、気にしなくていいのに。それより、夕飯どうする? 一緒に食べる?」

この時間となると、今から帰って夕飯を作るのは、めんどうだ。だからといって、これ以上紅玲に金銭的負担をかけるのは気が引けた。
「気持ちだけいただくわ。せっかくおつまみもらったし、宅飲みでもしようと思う」
千聖はポテトチップスを振りながら答えた。
「そっか。それじゃあ、また今度誘うね」
「えぇ、是非ともそうしてちょうだい」
千聖はポテトチップスをカバンにしまうと、シャワーを浴びに行く。

「……っ!」
お湯と泡が、背中の傷に染みる。痛みに耐えながらシャワーを終えると、髪の水分をあらかた飛ばして、服に着替える。

「じゃあ行こっか。忘れ物とか大丈夫?」
「大丈夫よ」
千聖が返事をすると、ふたりはエレベーターで1階へ行く。紅玲がフロントに追加料金を払い、鍵を返している最中に外で待つ。
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