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罪人の島
第1章 序章
「ほぉ、それはひどいね……。あなたが眠れないのはよく分かりますよ。虐待する人間の方が、むしろ病んでいるというのに、健康な精神を持ったあなたが私のところへ来なけりゃならないというのは理不尽でしょう。そもそも、そういう世の中もおかしいと思います」
「そうですよね? 時々、お子さんを黙って連れて逃げたくなったりするんです。でも、その方法だと一人のお子さんしか助けられないと思って、なんとか踏みとどまっているんです」
「たしかにそうですね。一人じゃなくて、全員助けて上げられればと、私も思いますよ」
「もちろん、そんなに簡単には行かないとはわかっているんですけど、役所的な仕事ではなくて、もっと積極的に助けてあげられる方法がないかと考え始めると、途方もないことなので本当に苦しいんです」
「なるほど……」

 院長の景山は、熱心に美奈子の話に耳を傾けてくれているのが感じられて好もしかった。一般的な睡眠導入剤よりも、と言って漢方薬を勧めてくれたので、美奈子は素直に受けいれた。




 いつものように、絵里からの誘いがあった。
 その時は、景山病院に通院し始めて、既に3ヶ月が過ぎていた。
 病院近くのホテルの屋上にビアガーデンがオープンしたから一緒に行かないかとの誘いだった。
 金曜日で翌日に響かないと思い、美奈子は、二つ返事でオーケーをした。
 
 その日は、また新しい案件があって参ったが、絵里とおしゃべりが出来ると思うと、ほっとした気分になった。
 いつもながら、絵里は美奈子の人生にとって、不可欠な存在だと思う。
駅の改札を出たところでケータイが鳴った。

「もしもし、美奈子?」
「えぇ、今着いたわよ」
「ごめん! 駅まで迎えに行こうと思ったんだけど、席をキープしなきゃならなくて、動けないのよ」
「いいのよ、Sホテルでしょ? わかるって……」
「だって美奈子って、方向音痴でしょ?」
『Sホテルくらいわかるわよ!」
「そお? じゃあ、待ってるわ。先生も、もう来る頃だし……」
「え? そんなの、聞いてないわよ」
「そうだっけ? でも、別にいいでしょ?」

 なんとなく調子のいい絵里にのせられたような気がしないでもなかったが、先生が一緒でいけないということはないと思った。
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