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罪人の島
第2章 島へ
 トントンと、叩いてみる。何も反応がないので、叩く回数を増やして反応を見るが、何も返って来なかった。もう、こうなったら、大きな音を立ててみようと、ドンドンと叩き始めた。
 それで、ようやく反応があった。
 扉が、すっと開くと扉の外の蛍光灯の光が差し込んで来た。

「大丈夫ですか?」

景山が扉を開けて入ってきた時、美奈子は少なからず驚いた。

「あ、あの……」
「ノブがわからなかった?」
「暗くて、扉の位置がわかりませんでした」
「そうでしたか。あ、心配しなくて良いですよ。私も目が覚めて通りかかっただけですから」
「いえ、そういうことではなくて……ここはどこですか?」
「船の中です」
「え? どうして私が船の中に?」
「おや、昨夜のことは、憶えていませんか?」
「すみません。飲みすぎてしまったようで、ほとんど覚えていないのです」
「施設の見学に行くのですよ。二泊三日の旅!って、騒いでいたでしょう?」

 そう言われてみれば何となく、絵里と二人で盛り上がっていた気がする。

「絵里は……絵里は、どこでしょうか?」
「あなたのお隣の部屋にいますが、まだ眠っているようです」
「そうですか……」
「朝食に行きませんか?」
「はい……」

美奈子は、自分だけ先に食事をして良いものかと一瞬だけ迷ったが、この時は、絵里が眠っているのなら、その間に景山から情報をもらって、昨夜の記憶を取り戻しておきたいと思った。

そう言えば、喉もカラカラに乾いている。
さっと洗顔を済ませてから、院長の景山に教わったデッキ近くの食堂に向かった。

白いペンキの塗られた金属製の階段を上ると、すぐに食堂が見える。
美奈子は、他に人のいないことを不思議に思いながらも、景山と同じテーブルについた。

「二日酔いですか?」
「はい、少し胃もたれはしますが、大したことはありません」
「それなら、なにか食べた方が良いですね。早くアルコールに出て行ってもらうほうが良いので、水分もしっかり取ってください」

朝食を運んできてくれた男性は、慣れた手つきではあったが、サービス業の人ではなく、無骨な感じで船で働く男というイメージの方が強かった。
美奈子がその男性を眺めていると、景山が尋ねた。

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