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罪人の島
第2章 島へ
 ただ、美奈子の場合は、普段から虐待をされている子供たちを身近に感じていることがあって、虐待した人間を見ると、どうしても許せない気持ちが勝ってしまうことは自分でも理解しているつもりでいる。
 虐待をしたからと言って、本人たちを誘拐して来るのは罪になるだろうし、子供達にしても、それで親がいなくなると、施設で育つことが決定されてしまう。施設も万全とは言えないから、必ず幸せになるかと言えば難しい。
 景山は、そういうことについて、どう考えているのだろう?

 その部屋を出たところで、美奈子は素直に疑問を口にした。
 景山は、誘拐をして来たわけではないことについても説明してくれた。

「彼らは、病んでいる。それは間違いないでしょう? だから、療養所で治療を受けながら作業に従事してもらうのですよ。私は医師ですから、治療するのが仕事なのです。それで、厚生施設として申請したのです。
実を言うと、こういう問題を起こした人の家族の本音はね、出来れば彼らに目立たないところに行ってもらって、噂が自分たちの生活圏にまで影響を及ぼさないようにして欲しいということなのです。だから、医師の守秘義務を逆手に取って、非公開の施設で更生をするつもりですと誘えば、皆さん、サインをしてくださるのですよ。治療費についても保険や更生施設で労働してもらって賄っていくと申し出れば、まず断るご家族はありません。そして、赤ちゃんから小さなお子さんたちのための保護施設と寮制の学校も作りました。もっとも今はまだ教師が足りませんけど、それは、新学期までに何とかします」

 景山の答えは明瞭だった。
 しかし、いくら病院の経営者でも、こんな大掛かりな施設を作る費用を全て賄えるのだろうか?
 そう言えば景山には仲間がいると言っていた。
 もしかすると、一人で賄っているわけではないのかも知れない。
 美奈子は、景山を手伝えば、そのうちわかって来るだろうと思った。

「あ、そうそう。あなたたちは、着替えもなにも持って来ていないので、お困りでしょう。武田に言えば準備があるのでお渡しできると思います」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えてお借りして来ます」
「いやいや、見ればわかると思いますが、職員用のものなので、おしゃれでないのが申し訳ないです」
「この状況ですから、何でも着ます」

 美奈子は、笑顔でそう言った。
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