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呟き…
第9章 どこまでが浮気…6



頭の弱い子を諭すように悠真が私の頭を撫でて来る。


「模型の問題じゃなくて来夢の趣味の問題な。模型はあくまでも興味が持てるかを聞いただけだ。お前は他に興味が持てそうなものがあるんか?」

「無い…。」

「コーヒーでも入れたるわ。」


呆れた悠真は私をソファーに残して台所に消える。

たかが趣味じゃん。

のび太君はお昼寝が趣味だぞ。

そう居直ればまた面倒臭い事になるからと結局は口を噤む。

悠真が入れたコーヒーを飲めば私の携帯が軽いメロディーを奏で出す。


「誰から?」

「相馬さんからメッセージ…。」


それは走行会の打ち上げの日程と位置情報。


「行くんか?」


珍しい物を見るように悠真が私を見る。


「行くよ。多分、歩美さんと百合さんも来てると思うし…。」

「いってらっしゃい…。」

「悠真も行くんだよ。」

「俺は招待されてない。」

「私が連れてってもダメなの?」

「相馬社長は自分が招待してない人間が来ると機嫌が悪くなるぞ。」


ただ驚いた。


「なんで?相馬さんは走行会とかお父さんでも誰でも歓迎するって言うてたよ。」

「ラリーとか走行会に車好きが参加するのは誰でも歓迎って意味やろ?だけど、この打ち上げパーティーは相馬さんが選んだ人間しか招待してない。」

「意味がわかんない…。」

「来夢かて知ってるやろ?相馬社長と付き合えば普通の女の子にはメリットだらけや。相馬社長目当ての女の子が勝手に押し掛けて来たりしたら相馬社長の彼女達が気分を悪くする。」

「そりゃ…、そうやけど…。」

「車には興味が無いのに相馬社長とは付き合いたいとか考える人間が相馬社長の周りに多過ぎるんや。」


それは悠真も経験した嫌な思い出だ。

学生時代は悠真が好きなライブや映画には付き合う気が無いのに悠真を自分の好きな事だけに付き合わせる人達が居た。


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