この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
呟き…
第9章 どこまでが浮気…6
悠真は普通に歩美さんと話す。
私だけが会話のテンポについて行けない。
いつもそう…。
私だけが黙ったまま、悠真の影に隠れる。
小さいオッサンだから…。
自分が慣れない場所に置かれるとビビって逃げ出す事が当たり前の人間。
適当に並べてある料理を見渡す。
ひつまぶしがあるのを見つけて期待する。
「退屈?」
相馬さんが私に話し掛けて来る。
「百合さんも来ますか?」
ひつまぶしは百合さんの為の料理のはず…。
「ちゃんと誘ったけどね。今日は東京に引越し中って言われたわ。」
相馬さんが寂しく笑う。
「来夢ちゃん、結構な自信過剰か?」
「私が?」
「百合の気持ちを知ってて今田さんに会わせたいとか余裕があるんやな。」
相馬さんの言葉が少し痛い。
余裕なんか無い。
自信があるのは私の問題じゃない。
悠真が簡単に他人を受け入れる事が無い人間だと知ってるからと持てる程度の自信だけだ。
私だって、迂闊な事をすれば簡単に悠真から捨てられてまう立場には変わりがない。
「自信なんか無い。1歩間違えれば私かて悠真に捨てられるから…。」
悠真はそういう男だという自信だけならある。
「それは無いと思うけど…。」
相馬さんが苦笑いする。
「そういう人ですよ。悠真って男は…。」
「ちょっと、ちゃんと話をしよか。」
悠真や歩美さんは他のスタッフの人や歩美さんのお父さんとかと話をしてる。
私と相馬さんだけが庭から抜け出して相馬さんの家の中へと入る。
「話をする?」
「先週の来夢ちゃんの質問にも僕は答えるつもりだったからね。」
「わざわざ?」
本当に不思議な人だと思う。
私とは桁が違う世界の人だからか?
相馬さんの話は私の知らない世界ばかりが見える。