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呟き…
第9章 どこまでが浮気…6
リビングを抜けて再び絨毯が敷かれたフカフカの階段を降りて行く。
「この階段、滑り止めが無いから怖い。」
8段くらいしか無い短い階段だが慎重に降りなければ踏み外しそうな気がする。
「ああ、歩美もそんな事を言うてたな。良かったら来夢ちゃんが改良してくれるか?」
「うちの会社に発注して貰えるなら…。」
「営業も上手いね。」
相馬さんがクスクスと笑う。
私の言う事って、そんなにおかしいのかと思うと会話するのが恥ずかしくなってまう。
駐車場の横を抜けて廊下の突き当たりまで行けば鉄の扉が見えて来る。
「ここは?」
「カラオケルームかな?」
「カラオケルーム?」
「ホームシアターなんかもあるよ。」
扉を開いた相馬さんがその部屋に私を招き入れる。
悠真の家よりも遥かに高度なホームシアターの機材があり、カラオケなども揃ってる。
部屋の真ん中には明らかに高価だとわかる8人掛けの革張りソファーもある。
壁際にはカウンターがあり、ワインセラーが設置されたバーにもなってる。
悠真が買うたホームシアターのセットが200~300万くらいて言うてたから相馬さんはやっぱり1000万以上のお金を使ってこの部屋を作ってんねやろな。
そう結論が頭に浮かぶから、もう相馬さんに値段を聞く気にもならない。
「なんで、わざわざこの部屋に?」
相馬さんが凄いやろと私にこの部屋を見せびらかすだけの人には見えない。
「ライブ、好きなんやろ?」
私に1枚のブルーレイディスクを差し出す。
それは私が好きなロックバンドのライブ映像。
アイルランド出身のバンド…。
「相馬さんも聞くの?」
「僕は来夢ちゃんが行きたい言うなら連れて行くだけの男だよ。」
意味がわからない答えを相馬さんが答える。