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呟き…
第9章 どこまでが浮気…6



誤解してる。

悠真が私を泣かす男だと相馬さんが誤解した。

私の我儘が全ての原因なのに…。


「悠真は悪く無いです。」


誤解を解きたいと必死になる。


「でも、来夢ちゃんは結婚相手の今田さんに我儘すら言われへんねやろ?」

「我儘なら言うてます。」

「どんな?」

「仕事を続けてもええって…。」


相馬さんは仕事をする女に興味が無いはず…。


「来夢ちゃんは仕事がしたいんか?」

「他に趣味とか無いですから…。相馬さんは仕事する女に興味とか無いでしょ。」

「仕事をする女は別に良いと思うよ。仕事を恋人にする女には困ってるけど…。」

「私も仕事が恋人です。」

「それは違うやろ?仕事を辞めないって意味と仕事が恋人って意味は違うてわかっとる?」


相馬さんが私の顔を覗き込む。


「そもそも来夢ちゃんはなんで結婚するのに仕事を辞めたくないの?」


そう聞かれたから私のやりたい事を答える。


「お父さんみたいになりたかったから…。」


困ってる人が居たら助けてやれ。

災害が起きれば建築の技術者は絶対に必要になる。

誰かの為にやれる仕事をやりたいと思う。


「つまり、建築がやりたいだけで会社に縛られてる訳じゃないよね?」


そんな質問は予期してない。


「でも、今の会社を辞めるつもりは…。」

「自分で自由に仕事が出来る会社を作ってあげる。営業も設計も必要な人材は揃える。好きなだけ災害地に行けばいい。その条件ならどうする?」


普通だと有り得ない…。

だけど、あの相馬さんの言葉だとこれが有り得る話になって来る。


「どうって…。」

「他の彼女が気に入らないなら別れたる。全部、来夢ちゃんの我儘を聞いたるから…。」


相馬さんの話にゾクゾクする。

かなり魅力的な話。

その反面、恐怖すら感じる。


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