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呟き…
第10章 どこまでが浮気…7
「百合、来てんのか?」
少しだけ相馬さんが嬉しそうな声を出す。
相馬さんは後ろめたいばかりを考える百合さんにもっと我儘を言うて欲しかったんだと感じる。
「うん、今日中に東京へ戻るから…。みぎゃっ!」
歩美さんの変な悲鳴が聞こえる。
「うぎゃっ!」
私も変な悲鳴を上げる。
「マジかっ!?」
相馬さんの叫び声も聞こえた。
次に感じたのは全身に走る痛み…。
どうやら階段を踏み外して落ちて来た歩美さんを歩美さんよりも小さな私が受け止めたらしい。
当然、私じゃどうにもならず歩美さんを抱えた私が相馬さんに背後から突撃した。
「大丈夫かっ!?」
「痛ーっ!」
心配する相馬さんの声と歩美さんの悲鳴がする。
「やっぱり、圭ちゃん、この階段怖いって…。」
「歩美が毎回、落ち過ぎなんや…。」
相馬さんと歩美さんが私を押し潰したまま喧嘩する。
「てか、来夢ちゃんは大丈夫なんか?」
改めて聞いて貰えて助かったとか思う。
「歩美さんが乗ってて…。」
私の足の上に歩美さんが居る。
「ごめんなさいっ!」
歩美さんが私の上から離れた瞬間、グキっと嫌な音が私の右足首から聞こえる。
「歩美っ!馬鹿たれっ!」
「ぎゃぁああっ!」
「ひぃぃいいっ!?」
階段の下では悲鳴やら怒号やらが混じりパニックにしかなってない。
「圭司君、何してんのよ?」
少し拗ねた物言いをするハスキーボイスの声が階段の上の方からする。
「来夢?」
百合さんと並ぶ悠真のが見える。
「悠真ぁああっ!」
半べそをかいて悠真を呼び付けた。
やっぱり私には保護者が必要だと実感する。