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呟き…
第10章 どこまでが浮気…7
10分後…。
「捻挫やと思う。知り合いの医者が居る病院に電話するから待っててや。」
リビングのソファーに寝かされた私の足を見て相馬さんが困った顔をする。
人に対する気使いの強い人…。
私の右足の捻挫を自分のせいだと感じる相馬さんが自分を責める。
「連れて帰ります。」
悠真が電話をしようとする相馬さんを止める。
「けど…。」
「相馬社長は東京に帰る彼女を新幹線の駅に送らなあかんでしょ?来夢なら大丈夫やから…。」
「大丈夫とちゃうやろ。」
「大丈夫ですよ。こいつの主治医は弟やし、弟と相談してから病院に行きます。」
そんな会話を悠真と相馬さんがする。
いや…。
弟を主治医にした覚えは無いぞ。
てか、弟の来人はまだ学生やし…。
悠真への文句を考える私に
「ほんまにごめんなさいっ!」
と捻挫の原因である歩美さんが平謝りを繰り返す。
「歩美さんが気にする事はないです。あの階段にも問題があるし…。」
私形のフォローに
「やっぱり、僕のせいって結論になるやん。」
と相馬さんが狼狽える。
「…つう訳で、連れて帰りますわ。」
そそくさと悠真が私を担ぎ上げて駐車場に向かう。
私と悠真を見送る人がゾロゾロと駐車場に向かう階段へと連なる。
「この階段、もっかい落ちるとか止めてや。」
ビビって悠真にしがみつく。
「この程度の階段で普通は落ちん。」
不機嫌な声で悠真が呟く。
「私と歩美さんは落ちたもん。」
「この階段は運動神経の悪い子だけが落ちる仕様になってるんやな。」
後で聞いた話だが、歩美さんも私と同じで泳げない子らしい…。
「運動神経が無くて悪かったなっ!」
キャンキャンと吠えて悠真に噛み付く。