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呟き…
第10章 どこまでが浮気…7
「悠…、相馬さんが好きか?」
唐突な私の質問を悠真はゆっくりと吟味する。
間違った答えは誤解を招くと悠真はいつも言う。
「人として、すげえ人だろ。相馬社長は…。」
それが悠真の答え。
尊敬に値する。
悠真が凄いと感じる人。
嫌いな訳が無い。
「私もそう思う。」
だから相馬さんと浮気した。
恋愛的な意味とは違うが悠真に言うべきだった言葉を相馬さんに言うてしもうた。
一瞬でも相馬さんに逃げようとした。
それを見抜かれて相馬さんに優しく突き放された感覚だけが私の中に残ってる。
「相馬社長に来夢を取られたら、多分、簡単に取り戻せるとは思えない。」
「それは違うんちゃうか?」
「あの人には勝てない。」
悠真はそうやって諦める。
お父さんには勝てない。
相馬さんには勝てない。
そう思い込む悠真が嫌いだ。
「でも私が結婚するのは悠真だよ。」
私の言葉に悠真がやっと笑ってくれる。
「お前、よく俺なんかと結婚する気になったよな。」
「お互い様やろ?」
「まだ結婚する実感が湧かねぇ。」
「それは私も思う。」
ウェディングドレスは注文をしただけで、まだ私の手元に無い。
ハワイの旅行代金とかの支払いは済ませたけど、まだ日本でグダグダとやってる。
一緒にご飯を食べても、一緒にベッドで寝ても、それがいつもと変わらない日常なのだからお互いがピンっと来ない。
「相馬社長なら来夢の趣味になる1/1スケールの城が作れたぞ。」
悠真が妙な嫌味を言う。
「別に1/1スケールの城を趣味で建築してみたいと思うてないわ。」
「俺は趣味すら与えてやれない退屈な男です。」
悠真の不機嫌の理由は一緒に居るのに私が退屈をしたからだ。