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呟き…
第11章 夫の協力…
悠真のうんちくを聞きながら京都で新撰組縁の地を見て回る。
「やっぱり新撰組なら会津や蝦夷だな。」
悠真がそうボヤく。
「なんで?」
「京都じゃ壬生浪士組は厄介者扱いやったからな。」
新撰組になる前は芹沢さん率いる無名の浪士組…。
「けど…、芹沢さんのが近藤君達よりも好みだな。」
私的な個人的好みを言うと悠真は信じられないものを見る目付きで私を見る。
「どこら辺が?」
「近藤君とか土方君よりも漢って感じがするじゃん?鉄扇を振り回してる辺りとか…。」
「おま…、芹沢が大阪や京都で何をやったか理解してる?」
一応、理解はしてる。
芹沢さんは大阪で道を譲らなかった力士が気に入らないと切り付け死者を出したり、芸妓に振られたからと切腹の代わりに断髪を命じたり、やる事成す事が破茶滅茶なオッサンだったと言われてる。
「相変わらず悪役が好きだよな。」
悠真は呆れて私を笑う。
別に悪役が好きな訳じゃない。
ただ…。
「新撰組の映画やドラマってなるとほとんどが生真面目な土方君が主役じゃん?」
「そりゃ、土方が最後まで残ってたからな。早々に暗殺された芹沢じゃドラマにならんやろ。」
「なら新撰組としてじゃなく芹沢さん個人に焦点を当てた物語にしたら、もっと違った意味での面白さとかあったんじゃないかと思うだけだよ。」
「芹沢に焦点ね…。」
諸説は色々とあるが、私が読んだ本に出て来る芹沢さんは毎日のように飲んだくれて豪快な漢だったとある。
もしかすると芹沢さんは武士の時代の終わりを理解した上で好き放題してたのかもしれない。
「だから、今更になって武士になりたいと時代遅れを目指し続ける近藤君や土方君を馬鹿にして、わざと自分から悪役をやってたみたいな設定にすれば芹沢さんも単なる悪役だけで終わらないかもしれないじゃん。」
私の考えを悠真が再び鼻で笑う。