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呟き…
第12章 大ちゃん…



パスポートの申請所とはやたらと人が並んでる。

待つのが嫌いなお父さん…。


「今日は混んでるから後日にしようぜ。」


ほぼ毎日混んでますからとお父さんを無理矢理に列に並ばせる。


「トイレ行って来る。」

「タバコ吸って来る。」

「ンコが漏れそうや。」


何かにつけて言い訳をしては列から逃走を計りやがる。


「お父さん…、大人しく並びなさい。」


流石の私がキレるとブツブツと文句を言いながらでも並び出す。

そして窓口までやって来た。


「ああ!?2週間後に葉書を持って来いとかどういう事やねん?免許証も見せて、もう俺が本人やってわかってんねんから今すぐに渡せや。」


窓口のおばさんに向かって騒ぎ出す。


「お父さんがほんまにそこに住んでるかを確認する為や。」

「そこに住んでなかったら俺はどこで寝るねん?淀川の堤防にでも住んでる言うんか?」

「そういう問題じゃなくて…。」

「当たり前の事を勿体付けてなんべん(何回)も人を呼び出そうとするその根性が気に入らん。」


別に窓口のおばさんが呼び出してる訳じゃない。

政府がそう決めたルールだとお父さんを説得する。


「ふざけんな。俺は忙しいんやぞ?そんな暇人向けのルールを政府の誰が決めたんや。そいつをシバいて法律を変えさせたらええねん。」

「お願いやから、ちょっと黙ってて下さい。」


そっぽを向くお父さんの代わりに私が手続きをする。

悠真は何故か既にパスポートを持ってるから他人のフリを決め込んでる。

因みに弟もパスポートを持ってる。

あいつだけは高校の修学旅行がシンガポールだったから…。

お母さんは黙ってる。

人前では貞淑な妻を演じるお母さん…。

但し、帰りの車の中では豹変する。


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