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呟き…
第5章 どこまでが浮気…2



いわゆる鉄板焼きのお店…。

但し、焼かれるのは高級食材…。


「来夢ちゃん、こっち…。」


お店の人が気付く前に相馬さんが私に手招きする。

巨大な鉄板付きのカウンター席で白いコック帽を被るシェフと向かい合いながら相馬さんは既に食事を始めてる。


「遅くなりました。」


一応は頭を下げる。

まだ5時半やから遅いってほどやないけど相馬さんが食事をしてるから待たせたかもと気が焦る。


「構へん、構へん。僕はお昼抜きやったからお腹が空いてて耐えられへんかっただけやねん。」


相馬さんが笑う。

30代とは聞いてるけど笑うと随分と子供っぽい。

相馬さんの隣に座ればすぐに私のテーブルセットが用意される。


「何、飲む?」


お店の人じゃなく相馬さんから聞かれる。


「車で来たから…。」


ソフトドリンクでお願いしますオーラを出す。


「なんでや?タクシーでおいで言うたやろ。タクシー代くらいは僕が出すよ。」

「いや…、そういう訳には…。」

「ほな、ホテルを取ったるから飲みいな。」

「ホテルっ!?」


間抜けにも叫んでしもた。

私の前に立つシェフが笑っとる。


「ぷっ…。」


相馬さんが吹いた。


「ホテル言うても来夢ちゃんの部屋はちゃんと1人部屋を用意したるって意味やで…。」


相馬さんの言葉に穴があったら入りたいと思うくらいに恥ずかしいと感じる。


「可愛いなぁ、来夢ちゃん。」


何故か子供扱いで頭をポンポンと叩くようにして撫でて来る。


「あの、お酒…、苦手なんです…。」


必死の思いで相馬さんに伝える。

悠真が居たら…。


『こいつ、飲めねえよ。』


で終わるのに…。

自分でちゃんと対応しなければならないと思うだけで悲しくなる。


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