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呟き…
第6章 どこまでが浮気…3



言われるがままに寝室に向かえば2段ベッドが左右にあるのが見える。

右の2段ベッドの下にあるベッドに荷物を置けばリビングから歩美さんが


「コーヒーと紅茶のどっちがいい?」


と聞いて来る。


「えっと…。」


俯いたまま、まともな返事すら出来ない。

歩美さんの方が明らかに私よりも若いのに…。

慣れた手つきで歩美さんは


「とりあえずコーヒーにしよか。」


と言ってリビングの横にあるミニキッチンの戸棚からマグカップを二つ出す。


「手伝います。」


慌てて歩美さんに駆け寄れば


「座っててや。コーヒー言うても注ぐだけよ。」


と歩美さんが手にした小さな魔法瓶からマグカップにコーヒーを入れてくれる。


「この保温瓶のコーヒーが切れたら隣のトレーラーハウスで貰って来てね。」


歩美さんから説明を受ける。


「隣のトレーラーハウスから?」

「うん、あっちは料理用のキッチンハウスやねん。このハウスでは料理はしたらあかんの。」

「キッチンハウス?」

「圭ちゃん、ご飯にうるさいからな。ご飯専用のトレーラーハウスで圭ちゃん専用のシェフが料理もコーヒーも用意してくれる。」

「なんか…、凄いね。」

「圭ちゃんのこだわりが阿呆なだけやて…。」


歩美さんの言い方に不思議な感覚を感じる。


「圭ちゃんって…?」

「相馬 圭志(けいし)やから圭ちゃんとか圭志君て言われてる。来夢さん、知らんかったんか?」

「フルネームは初めて聞きました。」

「ギャハハ…、敬語は要らんわ。うちのが来夢さんよりも年下やろ。」

「多分…。」


歩美さんの軽快なテンポについて行くだけで精一杯だと思う。


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