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呟き…
第6章 どこまでが浮気…3



「うちは海手なんやけど、圭ちゃんは山手の子でね。車が見たいって言うて毎週のようにうちに来るようになってた。」


歩美さんが言う海手とは兵庫の芦屋市の事。

海手は普通の家庭が多く、山手はお金持ちばかりが住んでるという、とんでもない街。

歩美さんが生まれた頃、中学生の相馬さんは車の為に歩美さんのお父さんの車屋さんに通う。


「けど流石に貧乏過ぎるからお母さんがお父さんにキレて出て行った。圭ちゃんが居たから寂しいとか思わんかったけど…。」


お父さんと2人だけになった歩美さんが中学生になる頃にお父さんが車屋さんを辞めると言い出した。

赤字でどうにもならないから…。


「なのに、圭ちゃんがうちの車屋とチームをお父さんに売ってくれって言うたんよ。」

「相馬さんが!?」

「どんだけのボンボンやねんと思うてお父さんも最初は断ったんやけどな。ちゃんと話を聞いたら圭ちゃんが自分で稼いだお金で車屋を買い取るって話やったらしいわ。」

「自分で稼いだ?」

「そう、圭ちゃんの親戚ってめちゃくちゃお金持ちなんやけど、実際には圭ちゃんに、そのお金が入る訳じゃなくて圭ちゃんは圭ちゃんが仕事をして稼がなあかんねんて…。」


相馬さんの一族は財閥らしいけど、財閥を継ぐのは本家だけで親戚はあまり関係ないらしい。


「相馬さんの仕事って?」

「トレーダーってわかる?」

「聞いた事はあるって程度。」

「うちもよくわからん。圭ちゃんは地球の裏側で働いてるとか言うて夜中に仕事してたりするんよ。」


そのトレーダーの仕事で1晩に何千万と稼ぐのが相馬さんだと歩美さんが言う。


「それで、圭ちゃんに車屋とチームを売って借金が無くなったお父さんは圭ちゃんの従業員になってもうたんよ。うちも工業高校を出て、そのまま圭ちゃんの従業員として働いてる。」


現在チームのチーフメカニックがお父さんだと歩美さんがゲラゲラ笑う。


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