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呟き…
第6章 どこまでが浮気…3
本音を言うならば千代子ちゃんの話を相馬さんに相談したかった訳じゃない。
本当に相談したい事は私と悠真の結婚が間違いじゃないのかという不安。
「その従妹のせいで今田さんが来ないんだ。」
相馬さんは穏やかに笑う。
千代子ちゃんにヤキモチを妬く私を子供っぽいと思うとるかもしれへん。
「今の悠真は、そんな状況だから私ですらまともに連絡が取れてません。」
自分の気持ちを他人に見抜かれるのが怖い。
だから、わざと冷静なフリをして淡々と話す。
自分が怯えてる姿を晒せば負けると言われて来た。
喧嘩上等な家族の中で育って来た私と悠真の両方に染み付いた悪癖と言える習慣。
私は強くて冷たい女なのだと鎧を着る。
悠真の前ですらその鎧を着る。
なのに…。
何を相馬さんに求めてる?
相馬さんの前だと、その鎧が壊れそうな気がする。
「それでも今田さんがええんか?」
相馬さんの手が私の頭に乗る。
「よく…、わからない。」
たかが従妹の問題。
結婚はもう決まってる。
なのに自分の中に生まれてしまった不安が拭い切れずに泣きたくなる。
「悩みは従妹の事やないやろ?」
相馬さんが私の頬に手を当てて私の目を覗き込む。
「それだけですよ。」
流石に近いと1歩引けば、相馬さんが無理矢理に私を引き寄せる。
「迷うとるくせに…。」
相馬さんがため息を吐くように呟く。
頭に来た。
腹が立つ。
そうやって私はキレる。
普段は人見知りがあり大人しいだけの臆病な子…。
キレたら手の付けられない人間になる。
「何も、迷うとらん。」
相馬さんの手を振り払い威嚇するように睨む。
怖いくせに…。
泣きたいくせに…。
可愛げのない私は相馬さんに威嚇する。