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はなむぐり
第9章 はなむぐり
今日は晴れているが風は冷たく、やはり10月は本格的な秋だと感じる。9月の終わりまでは暑い日もあったのに、いきなり寒くなられては身体が追いつかない。しかし、部屋にばかりいるわけにもいかず、蜜樹に連れ出されていつものベンチしかない小さな公園に来ていた。土日でも子供たちはいなくて、皆、もう少し歩いた先の様々な遊具がある大きな公園に行っている。なので、私と蜜樹にとってこの公園は穴場だ。
葉が真っ赤に染まった木の下にあるベンチに二人並んで座っている。公園に行くまでの途中にあるコンビニでホットコーヒーを買っていて、何を話すでもなく紙のカップに入ったコーヒーを啜りながら過ごしていた。
右隣に座っている蜜樹は白いタートルネックセーターのワンピースの上にカーキのジャケットを羽織っていて、黒いタイツ、そして黒いショートブーツを履いている。日焼け止めと赤い口紅だけだと出かける前に言っていたが、むしろそれが色香を漂わせていた。黒髪の…たしかボブだと言っていたが、髪型も夏以降に変えたせいもある。
私はというと、黒いフリースのパーカーの下はベージュのトレーナー、カーキの裏起毛の緩いパンツにグレーのスニーカーだ。染めようか迷った髪はほとんどが白く、もうそのままにしている。
数か月前の真夏の夜に出かけたときの蜜樹も可愛かったが、この短期間でまた可愛く美しくなって。