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はなむぐり
第9章 はなむぐり



お風呂から上がり、栄養と美味しさが詰まったシチューとご飯、コーンのサラダをいただく。残ったシチューは明日の朝、食パンにつけて食べるのがお決まり。目の前に座っている蜜樹は私の食べている様子を見ながら、嬉しそうにシチューを口に運ぶ。ドライヤーで乾かしてあげた髪は毛先が少しだけ湿っていて、化粧水と乳液で整えた肌は艶々と光っていてぐっと幼く見える。お化粧をしていないからというのもあるが、恋人と姪を行ったり来たりしているからだと私は思っている。それは、とても幸せなことだと思う。

私に子どもがいたら、どんな父親になっていただろう。
蜜樹はきっと、あたたかい母親になっただろう。

蜜樹から、大切な人を愛すること、多くのことを私にくれた。私が蜜樹の大切な時間を奪っていると分かっている。だから、この真っ直ぐな気持ちを誰かに向けたとき、私は見守ると決めている。前はそんなのは嫌だと駄々っ子のように思っていたが、こんなにも幸せな日を送れたのだ。

この恋人との時間を精いっぱい生きよう。

口いっぱいに広がる優しいシチューを味わいながら、あたたかい時間を心に刻んだ。
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