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はなむぐり
第2章 後悔
すると、蜜樹たちが帰ってきた。
孫との楽しい時間に両親はご満悦で、デパートで回転寿司を食べたとか蜜ちゃんはわがままを言わない良い子だとか、何を着せても似合うとか。
蜜樹は買ってもらった淡い紫色のレースの大人びたワンピースを兄に見せている。
兄は蜜樹を抱き上げると膝に座らせて、目元を赤く染めて頭を撫でた。
きっと大丈夫だろう。
そう思いながら、台所で淹れ直したコーヒーを飲んだ。
「おじさん見て」
振り返ると、いつの間にか蜜樹が台所に来ていた。
すでに私の胸まで伸びた身長。
ワンピースの裾を両手で揺らし、くるりと回った。
「可愛いよ」
「違う!きれいだよって言うんだよ。女の子はきれいが一番嬉しいのよ」
頰を膨らませる蜜樹の目の前で私は膝をつき、『きれいだよ』と言った。
「うん!おじさん大好き…大好き」
すぐにぱあっと顔が明るくなった蜜樹はこの年齢でも抱きついてくる。
はじめは兄と女性との子どもということで、私と両親は複雑な気持ちだった。しかし、そんなことは全く関係なく、愛しさでいっぱいだった。