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はなむぐり
第2章 後悔
次の日の…たしか5時前だった。
実家から電話が。
兄が川に身を投げ、意識不明の重体だと。
私はすぐに車で病院に向かった。
父は搬送先の病院におり、実家には母と蜜樹がいる。
今になって『昨日に戻りたい』と願う。
あんなに笑っていたじゃないか。
まだ存在してくれている兄に送る。
お願いだからいかないでほしい。
蜜樹を一人にしないでほしい。
冷たい汗で滑るハンドルを何度も何度も握り直す。
私が着いた頃に兄は存在していなかった。
たった20分しか経っていない。
父は呆然と立ち、ゆっくり明るくなっていく病室で兄は静かに眠っていた。