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はなむぐり
第3章 膨らむ蕾
「高校もセーラー服だそうだ。白いリボンから赤いリボンに変わっただけと不満そうだ。中学校は読書クラブに入っていたから、高校はどうしようと悩んでるよ」
小さなグラスにビールを注ぎ、兄の前に置く。
私は半分になったビールをゆっくり飲む。
「明後日かな。入学式なんだよ。父さん母さんは楽しみで仕方ないって。桜はまぁ間に合うかな。開花時期は今年は早いそうだ」
時計の音と喉が鳴る音。
私の一人の会話が途切れると、静けさは兄が話しているようだ。
すると、チャイムの音が鳴り響いた。