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はなむぐり
第3章 膨らむ蕾
こんな時間にとても不気味だ。
間もなく日付が変わる。
おそるおそるドアの前に行き、意を決して覗き穴を覗いた。
すると、セーラー服を着た蜜樹が立っていた。
頭が混乱する中ドアを開けると、すぐに後ろへ倒れ込む勢いで抱きついてきた。
胸に顔を埋め、両手で背中の肉を力いっぱい握ってくる。
「こんな時間にどうした?じいちゃんばあちゃんはどうした?」
顔を見せない蜜樹の背中をさすりながら、音をなるべく立てないようにドアをゆっくり閉めて鍵を閉めた。
「…じいちゃんに送ってもらったの。おじさんのところに行きたいからって。わがままなことは分かってる。だけど、入学式におじさん来られないから…見せたかったの。すぐに」
私から一切離れずに声を殺して一生懸命話す蜜樹。
こんな暗闇の中実家から歩いてきたのかという心配でいっぱいだったが、父に送ってもらったと聞き、いけないことだが嬉しくて仕方がなかった。