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はなむぐり
第3章 膨らむ蕾
「ありがとう。ところでじいちゃんはどうした?待ってるのかな?」
蜜樹の指通りの良い黒髪を撫でながら顔を傾けた。すると、やっと顔を上げてくれた姪の美しさに胸が高鳴り、鼻と鼻が触れそうな距離に内に熱がこもる。
「うん…車で待ってる。部屋でね、新しい制服を着て鏡を見てたら早くおじさんに見せたくて…受験で会えなかったことも多かったし我慢できなくて。ちょうどじいちゃんがトイレに起きてきたから無理言ったの。もうしないから今日だけ」
瞬きを頻りに繰り返し、小さい声のせいで吐息が異常に漏れている。乾く唇を舌で湿らせ、切れ長の両目は真夜中のせいかうっすら赤くなっている。
思わず頰に手を添えると驚いて肩が跳ね上がる。
頰に添えていた手をゆっくりと首へ。
「はっ…おじさん」
指先にトクントクンと若々しい脈を感じ、胸元の赤いリボンへ手を這わせた。
「きれいだ。また大人になった。入学、おめでとう」
私は口の中の肉を噛み、ずれていた赤いリボンを中央に寄せて直した。
「ありがとう…おじさんと…じいちゃんばあちゃんのおかげ。いつもありがとう」
「こちらこそいつもありがとう。蜜樹の成長はみんなの希望だ…そうだ。渡したい物があるんだ」
蜜樹の体温が残る両手と身体を無理やり理性で引き剥がし、リビングの引き出しにしまっている入学祝いを取りに行った。