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はなむぐり
第1章 愛しい花


「蜜樹(みつき)…私も好きだ」

熱い口の中を泳ぐ親指を舌に滑らせ、喉の近くまで。

「はっ…ぅ…」

顎を上げて涙ぐむ蜜樹が私を呼び覚ます。勃たない日が多くなりつつある私を、蜜樹は愛しいと言う。

口の端からよだれを垂らし、それでも私の背中に回した両手は優しく優しく這い回る。

「ぅ…んっ…はぁはぁ…好き」

ゆっくり親指を抜くと細い糸が蜜樹と私を繋いでいて、切れたと同時にしゃぶった。相変わらず甘く、後味はさっぱりとしている。

「おじさん…私のおじさん」

その様子をうっとりとした目で見上げ、舌を覗かせる蜜樹。

「飽きるまで愛してくれ」

私は両手に収まる小さな顔を掴み、深く唇を合わせた。

何度しても足りない。
自分がおかしいのか。
この汚い舌が蜜樹を舐めたいと暴れる。
この濁った両目が一瞬の成長も見逃したくないと回る。
この鼻が蜜樹の生きている全ての香りを欲しがる。
この両耳が甲高い声を。喘ぎ声を。苦しむ声を。
厚い肉で覆われた身体は季節問わずぬくもりを求める。
皺だらけのモノは蜜樹の中にいたいと願う。
荒んだ心は変わらない心を喜ぶ。


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